圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む
交叉する外食と農業の未来

国産農産物に、いま猛烈なフォローの風が吹いている(1)

風害に対して、県などの行政も指をくわえて見ているわけにはいかないということになり、最近は農家に冬場の麦作を呼びかけたり、緑肥といって、実の収穫を目的にするのではなく、青刈りして圃場にすき込んで肥料とすることを目的に麦類などの作物を育てることを推進し、このために無料で緑肥作物の種子を配布するということも行っています。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む。
交叉する外食と農業の未来

畑の土が消えていく(2)

戦後、化学肥料が普及すると、堆肥を作ったり撒いたりすることが減っていきました。もともと、堆肥作りはたいへんな手間と時間がかかります。しかも、圃場に均等に撒く作業も、機械化しづらい作業だったためたいへんでした。そこへ、粒状などで撒きやすい化学肥料が登場したので、農家は仕事がラクになるといってとても喜びました。
いわゆる“古代米”の稲穂(記事とは関係ありません)
食の損得感情

コシヒカリBLは、コミュニケーション戦略のミス

さてさて、温厚な松永さんを怒りで震えさせてしまったというのは、ただごとではない。だが、誤りの指摘や反論ならありがたいのだが、「違和感」という感情、「怒り」という情動だけ報告され、その原因に言及されないというのは、私としては困惑するばかりで、生産的でない。それを残念に思う。とはいえ、このことはコシヒカリ新潟BLを「コシヒカリ」として売るべきではなかったということを考える上で、よいヒントとなっている。
圃場で作物を前にすれば外食と農業の壁を越えて話も弾む。
交叉する外食と農業の未来

畑の土が消えていく(1)

私から見ると、多くの外食関係者あるいは都市生活者の農家や農業に対するイメージは、現実とかけ離れているように見えます。そして、それによって自社が損をしたり、お客様に損をさせたり、あるいは生産者を苦しめたりすることが多いようです。この稿が、みなさんが農家や農業に対して抱いているイメージを、少しでも考え直してみるきっかけになればと思います。
うねやま研究室

発がん物質と発がん性が疑われる物質――マラカイトグリーンの例

この夏、多くの方が「マラカイトグリーン」という物質名を何度も目にしたことと思います。公的機関からの発表では「発がん性が示唆される」または「発がん性の疑いがある」という修飾語がつくことが多いのですが、一部メディアでは「発がん物質」と断定しています。さて発がん物質とは何でしょうか? 一般の人がメディアに踊る「発がん物質」の文字を見て想定するのは「人間のがんの原因となる物質」という意味であろうと思います […]
コメの収穫作業(茨城県)
食の損得感情

コシヒカリ新潟BLの販売方法は「情報隠し」か

新潟県の泉田裕彦知事は、JAなどがコシヒカリ新潟BLを在来コシヒカリと区別せず売っていることを批判した。朝日新聞などによれば、知事は2007年12月4日に、「消費者の信頼を獲得するため、なるべく情報を開示する方向でやったほうがいい」と発言。11月30日の県議会の委員会でも、「在来品種と新品種の違いを分からないようにして売ってしまおうという戦略。『情報隠し』だ」と言ったという(ともに朝日新聞の報道) […]
肉中温度計。ある種のチェーンレストランでは、商品の温度にノウハウが凝縮され、人間の体温のように、商品の温度で異常が見付かる
食の損得感情

ミシュランの覆面調査員とは違うが、気になる存在――ミステリーショッパー

19日の「ミシュランガイド」の発表から、周囲はその格付けに納得するかしないか、妥当と思えるか思えないかなどの話題でかまびすしいこと、一通りではない。なににせよ、食に関して世間の関心が高まるのは悪いことではない。私はと言えば、発表された店は行ったことのないところばかりで、我が身を省みて大いに笑ってしまった。もちろん殿上人の世界のことにはなんら意見する材料を持たないのだが、ニュースで触れられる「覆面調 […]
うねやま研究室

科学が歪められているのに声を上げない科学者

私たちは安全な食生活を求めて、科学的根拠をもとにいろいろな対応をします。例えば高温で食中毒菌を殺す、カビが生えないように保存条件を管理する、などのようなことです。偏食しない、というのも科学的根拠があるといえるリスク管理でしょう。ところが食品分野では、この「科学」がしばしば間違って報道され、実際とはかけ離れた形で一般の「常識」になっていることが、多々見られます。それは日本だけではなく、世界中どこでも […]
食べる智恵

野川で上海蟹をとり逃がす

東京には野川という川がある。大きな川ではないけれど、一級河川(国が管理しているということ)だ。国分寺市が源流で、小金井市、調布市、三鷹市、狛江市、世田谷区を流れ、仙川と合流し、多摩川に注ぐ。
オートメションの製造工程を見せることを売りの一つにしている「クリスピー・クリーム」
食の損得感情

「生産のポルノグラフィー化」でいいのか?

鹿島茂氏のエッセーで、「メリヤスの逆説」という面白いキーワードに出会った(「ア・プロポ」:中公文庫「クロワッサンとベレー帽」所収)。メリヤスは1本の糸を編んで作る編み物のこと。また、機械編みの衣料品を指す(ちなみに、縦糸と横糸の2本の糸で作るのは織物)。ところが、今日、メリヤスは「専門の業者以外には口にしない死語になってしまっている」。鹿島氏自身、メリヤスは素材のことと思い込んでいたという。
食べる智恵

グラパラが呼び覚ました古い記憶

先週、母が「友達にもらった」とグラパラを持ってきた。トゲのないアロエのような、細長いカネノナルキの葉のような、熱帯植物園で見たことがありそうな肉厚の葉。パンフレットではカルシウムの吸収のよさを強調している。
伊勢神宮の御手洗場がある五十鈴川。赤福の波形はこの川の流れを模したとか。なんともおそれ多い話
食の損得感情

赤福は倫理観だけでなく販売予測技術も低レベルだったか

「赤福」が非常な勢いでたたかれている。テレビも新聞もニュースサイトも、同じような見出しを立てていて、さながら掲示板やブログの“祭り”にも似て見える。どうも、玄人が素人と一緒になって大騒ぎしているようで、観ていて小恥ずかしい――と、ここに書くのだから、私もたちの悪い野次馬の一人なのには違いない。
冷たく、きれいで、そしてやっかいなもの、氷(記事とは直接関係ありません)
食の損得感情

氷点下でも凍らない「氷感」技術で“旬”は失われる?

前回は食品の品質保持にまつわる話を紹介し、ただし受注生産を基本に考えるべきとしめくくった。とはいえ、受注生産がままならないのが農水産物だ。これらは天候や季節の影響をもろに受け、野菜や魚介などは常に流通量と価格が変動している。さらに、政治の影響も受ける。また、市場に対応するように生産を行っても、実際に供給するまでにはタイムラグがあり、結果、需給のバランスが完全に安定することはない。昨今話題の穀物価格 […]
目に見えないほど薄い衣を付けたbatter coating potato
食の損得感情

棚持ちがよければ、たくさん作っていいわけではない

冷凍フライドポテト製品の中には、バッタードポテト(battered potato)というカテゴリーがある。batteredは、素揚げではなく衣の付いたフライという意味だが、特に、仕上がりからは衣付きだとほとんど分からないbatter coating potatoがStealth Fries(Lamb Weston)といった名前で販売されていて、これが外食で重宝されている。目に見えないほど薄く均一に […]