- “ソルビトール”で死者が
- 4月から放射性物質の新基準が実施
- 「トクホ」指定のコーラが登場
- 牛レバーの生食が禁止に
- ビールの不当廉売を摘発
- 白菜浅漬けでO157食中毒発生
- 簡易水道でエルシニア腸炎が発生
- 福島県産米の全袋検査開始
- 中国の輸入規制の余波でバナナが暴落
- ノロウィルス大流行
私が発行しているメールマガジン「安心!?食べ物情報」のバックナンバーからピックアップしました。メールマガジン発行日順に並べています(各項末尾に掲載号を記載)。
●「安心!? 食べ物情報」バックナンバー
http://food.kenji.ne.jp/review/reviewb.html
1. “ソルビトール”で死者が
イタリアでの話ですが、食品添加物のソルビトールで死者が出たという衝撃の事件でした。
砂糖で人が死ぬようなものですから、まずあり得ない話だと思っていたら、やはりソルビトールとして売られていた商品の中に亜硝酸塩が入っていたということでした。同じ食品添加物でも、亜硝酸塩を砂糖なみに使ったら死者が出ます。
この事件の背景にはソルビトールを使った痩身法があるらしいのです。ソルビトールを大量に摂取すれば、下痢をしてやせるでしょうが、それでよいとは思えません。
ところで、問題のソルビトールはネット通販で買ったものでした。医薬品のネット販売が話題になっていますが、やはりこうした危険も考えないといけないのか、という意見も出ていました。(2012/04/01 第647号「ソルビトール」)
2. 4月から放射性物質の新基準が実施
1kg当たり100Bq(ベクレル)を中心とした新基準が4月から施行されました。非常に厳しい基準ですが、ほとんどの食品がこれをクリアできる環境になったということはよかったです。
今まで輸入食品に使われてきた基準値は370Bqですので、今までは問題がなかった食品でも、100Bqを超えて違反事例になったものが出ています。とんだとばっちりで申し訳ない話です。
ヨーロッパではチェルノブイリから20年以上経っても、こうした数値が出るのですから、発生から1年後にほぼクリアできた日本の事故は比較的被害が少なかったということなのでしょう。(2012/04/22 第650号「放射性物質の新基準」)
3. 「トクホ」指定のコーラが登場
こんなものが売れる時代になったのですね。いかにも健康に悪そうな、不良っぽい味がコーラの魅力だと思っていたのですが、何とも軟弱なものです。
健康が気になるような人はコーラなんか飲むなよ……と私は思います。(2012/06/03 第656号「トクホのコーラ」)
4. 牛レバーの生食が禁止に
マスコミ関係者からは非常に批判を浴びた規制です。酒、タバコ、夜更かしで暮らしている人から見れば“余計なお世話”なのでしょうね。
そう言われればそのとおりなのですが、放置すれば人が死にますので、規制できるものならした方がよいと思います。
マスコミが煽ったせいもあって、禁止直前に生レバーを食べて食中毒が多発したそうです。自業自得とはこのことです。
その後、“焼かないのは客の勝手”商法とか、“豚生レバー”を出すとか、トンデモ商法も話題になりました。(2012/07/01 第660号「生レバー禁止」)
5. ビールの不当廉売を摘発
イオンの「リペートなんか知らないよ」商法が問題になりました。
以前はビールには販売量に応じてメーカーがリベートを出していました。リベートは小売りに直接支払われることも、卸を通して支払われることもあります。
そのリベートが廃止になったのですが、卸払いだったため、イオンは本来リベート分の値上げを認めるべきところを、優越的な地位を利用して知らない顔をしました。結果、卸が不当廉売ということになりました。
卸各社は気の毒とは言いながら、全体で損はしていないのだろうな、などと余計な勘繰りをしてしまう事件でした。(2012/08/12 第666号「ビールのリベート」)
6. 白菜浅漬けでO157食中毒発生
北海道で白菜浅漬けで大規模な食中毒が発生しました。今の漬物は保存食とは言い難いものであることが改めて認識された事件です。
原料段階での殺菌をしなければならないのですが、何故か殺菌はしたくない、という業者が多かったことも問題でした。
たぶんこれは消費者が悪いのです。安全ということについて、もっと真面目に考えないといけないですね。(2012/08/19 第667号「白菜浅漬けと食中毒」)
7. 簡易水道でエルシニア腸炎が発生
これも上記と同じ日の記事です。富山県と言えばきれいな水が豊富なところですが、それゆえに起こった事件です。
簡易水道で殺菌をしていなかったのです。せっかくのおいしい水だからという理由で、故意に塩素を入れなかったようです。上記漬物の場合と同じように殺菌という行為を嫌がっていたのではないかというところです。
安全を確保するのにはコストをかける必要があります。また、実質的な利益を伴わない美しい言葉を真に受けてはいけない、という教訓でもあります。水道は必ず殺菌すべし!(2012/08/19 第667号「簡易水道で食中毒」)
8. 福島県産米の全袋検査開始
放射性物質の新基準は米については半年遅れて、今年の新米からの適用になります。
非常に厳しい基準ですので、モニタリング検査くらいで十分だろうと考えていましたが、出てきた対策は何と「全袋検査」です。
しかもコンベアで流れ作業でチェックできるという機械の開発を間に合わせてしまったのですから驚きました。
だいたい70Bqくらい以上あると、このチェックに掛かるようです。100Bqの基準を守るためには十分な能力です。
こういうのを泥縄で開発してしまうのが日本企業の得意とするところで、世界中からクレイジーと言われるゆえんですね。(2012/09/02 第669号「米の全袋検査」)
9. 中国の輸入規制の余波でバナナが暴落
中国で尖閣諸島問題に関連して暴動が起こりました。日本車(中国製です)に乗っていた中国人が暴行を受けて重傷を受けるという事件もあり、中国人の程度の低さを世界中に示してしまいました。
貿易にも影響が出ていて、日本産食品の輸出(中国での輸入)ができにくくなっています。
実は中国が領土問題でもめているのは日本だけではありません。領土を接するほぼすべての国ともめているのです。
フィリピンやベトナムとは南シナ海の島嶼をめぐって以前からもめています。中国側が不法占拠しています。そのフィリピンとの関係で、バナナが実質的に中国に輸出できなくなるという、WTO加盟国とは思えない暴挙に出ています。
そのあおりでバナナが大量に日本に入ってきて、価格が暴落しているということです。(2012/09/23 第672号「中国現地情勢」)
10. ノロウィルス大流行
ノロウィルス自体は昔からあったのですが、その存在が知られていなかったものです。今でも単独で感染したら「お腹にくる風邪」で済ませてしまっていることも多いと思います。
食中毒として取り上げられる場合が多いのですが、飲食店にとってはなかなかやったいなものです。ウイルスは人間の体内以外では増殖しませんから、“新鮮なものは大丈夫”ではないのです。
このところ何か悪質化しているような印象もあります。お互い注意していきたいですね。(2012/12/09 第683号「ノロウィルス」)
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